木の伐採に補助金は使える?岡山市・倉敷市の危険木の制度と条件
「庭の大きな木を切りたいけれど、費用が気になる。木の伐採に使える補助金はないのだろうか」。伐採を考え始めたとき、こうした疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論から言うと、木の伐採を補助する制度はあります。ただし、当社が公式ページで確認できた岡山市・倉敷市の制度は、どちらも「森林(山林)にあって、住宅などに倒れるおそれのある木(危険木)」を対象にしたもので、住宅の敷地に植えた庭木をそのまま対象にした制度は、当社が確認した範囲では見当たりませんでした。
この記事では、岡山市と倉敷市の公式ホームページに掲載されている危険木の補助制度を中心に、対象になる木・ならない木、申請できる人、申請前に気をつけたいことを、岡山県全域で伐採を行う岡山伐採センターがまとめます(内容は2026年10月時点で各市のホームページを確認したものです)。
木の伐採に使える補助金はあるのか
岡山市・倉敷市の制度に共通するのは、次のような点です。
- ✓ 対象は森林(山林)の木で、宅地の庭木は対象外(倉敷市は住宅地の木は対象外と明記)
- ✓ 住宅や道路に倒れるおそれがあるなど、被害を防ぐ目的がはっきりしている
- ✓ 伐採の前に申請や計画書の提出が必要
- ✓ 補助されるのは費用の一部で、上限額が決まっている
つまり「庭の木が大きくなったので切りたい」というご相談の多くは、補助の対象にはなりにくいのが実情です。一方で、裏山や隣接する山林の木が家に倒れてきそうだという場合は、お住まいの市の制度が使えるかもしれません。
岡山県内の市町村すべての制度を当社で確認したわけではありません。ここでは公式ホームページで内容を確認できた岡山市と倉敷市の制度をご紹介します。そのほかの市町村にお住まいの方は、市役所・町村役場の農林担当の窓口にお問い合わせください。
岡山市の里山における危険木の伐採等の費用の補助
岡山市は「里山における危険木の伐採等の費用を補助します」というページで、住宅等への倒木被害から人命と財産を守ることなどを目的に、危険木の伐採の費用の一部を補助する制度を案内しています。
対象になる木
市のページでは、対象の危険木を次のように定めています。
市内の地目及び現況が山林内若しくは保安林内にある、胸高直径20センチメートル以上かつ樹高5メートル以上で、倒木により他人の居住する民家に被害を与えるおそれのある樹木
ポイントは3つです。木がある土地が登記上も現況も山林(または保安林)であること、胸の高さで直径20cm以上・高さ5m以上あること、そして倒れたときに被害を受けるのが他人の住む家であることです。宅地の庭に植えた木は、この定義には当たりません。
申請できる人と、対象外になるケース
申請できるのは、危険木を所有する人、または危険木が倒れると被害を受けるおそれのある住居の所有者・管理者です。後者の場合は、危険木の所有者から事業実施の承諾を受けていることが条件になっています。
次の場合は対象外とされています。
- 危険木の所有者と、被害を受けるおそれのある住居の所有者・管理者が同じ人、または生計が同じ場合
- 森林の所有者が分からない場合や、共有名義などで全員から伐採の同意を得られない場合
「自分の山の木が自分の家に倒れそう」というケースは、この補助の対象にはならないということです。
補助の金額と主な書類
補助額は補助対象経費の2分の1以内で、上限10万円です。対象経費は、危険木の伐採、撤去、処分などの費用とされています。伐採した木を売却した場合は、その金額を差し引いた額が対象になります。また、補助を受けられるのは1人(生計が同じ人を含む)につき同じ年度内で1回限りです。
申請時には、補助金等交付申請書、事業計画書、伐採等の経費の内訳がわかる見積書の写し、位置図、事業実施前の写真、山林の所有者がわかる書類(全部事項証明書等)などが必要とされています。提出先は、危険木がある場所の区役所農林水産振興課、または支所の産業建設課です。
また、交付要領には、補助対象事業の実施にあたり必要となる関係法令等に基づく届出等が行われていない場合は、交付の対象としないと定められています。森林の伐採の届出については、下の「先に確認したいこと」でまとめています。
倉敷市の危険木伐採等森林整備補助金
倉敷市は「倉敷市危険木伐採等森林整備補助金のお知らせ」で、町内会等が行う危険木の伐採等の経費の一部を助成する制度を案内しています。岡山市の制度とは、申請できる人の考え方が大きく違います。
対象は「町内会等」が行う森林の危険木の伐採
対象になる危険木は、市内の森林にある立木竹で、老朽化、損傷、枯死などにより、住宅や店舗などの建物、またはその付帯施設や道路に、倒木や落枝の危険があり、市民の生命や財産に著しい被害を与えるおそれがあるものです。市のページには「農地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地の上にある危険木は対象になりません」と明記されています。
申請できるのは、危険木がある地域で活動する町内会・自治会などの団体です。3世帯以上の住民で構成されていること、規約と代表者を定めていること、自治会活動保険等に加入していることなどの要件があり、個人での申請は想定されていません。
また、作業は町内会等の会員が直接行うのが原則で、外部への委託料が対象経費になるのは、会員が直接作業することが難しい場合に限られています。
補助の金額と主な書類
補助率は補助対象経費の4分の3以内で、1団体あたり上限50万円です(千円未満は切り捨て。同じ年度に既に交付を受けている場合は、50万円から交付済みの額を引いた額が限度)。
活動前の交付申請では、事業計画書、収支予算書、町内会等の規約と会員名簿の写し、森林と危険木の位置図、伐採前の危険木の写真、補助対象経費の内訳を証する書類(外部に委託する場合や機械をリースする場合は見積書の写し)などのほか、森林の土地の登記事項証明書や、危険木の所有者の同意書が必要とされています。お問い合わせ先は倉敷市の農林水産課です。
岡山市と倉敷市の制度の比べ方
| 項目 | 岡山市 | 倉敷市 |
|---|---|---|
| 対象の木 | 地目・現況が山林(保安林を含む)で、胸高直径20cm以上・樹高5m以上 | 市内の森林の立木竹(農地・住宅地などの木は対象外) |
| 守る対象 | 他人の居住する民家 | 建物・その付帯施設・道路 |
| 申請できる人 | 木の所有者、または被害のおそれがある住居の所有者・管理者(承諾が必要) | 町内会・自治会などの団体 |
| 補助の額 | 対象経費の2分の1以内・上限10万円 | 対象経費の4分の3以内・1団体あたり上限50万円(作業は会員が直接行うのが原則) |
どちらも、補助を受けられるかどうかは市の審査で決まります。予算や受付の状況は年度によって変わることがあるため、最新の内容は必ず各市の窓口でご確認ください。
岡山市の「保存樹」は伐採の補助ではない
補助金を調べていると、「保存樹」という言葉を目にすることがあります。岡山市の「保存樹について」によると、保存樹は岡山市環境保全条例に基づき、所有者の申請により、基準に当てはまる樹木を市が指定する制度です。
市の支援は、標識の設置と、樹勢の衰えが見られる場合の樹木医の派遣や治療費用の助成です。つまり木を残して守るための制度で、伐採の費用を補助するものではありません。剪定などの通常の管理は所有者の負担とされ、樹木の滅失・枯死などの場合には届出が必要です。保存樹に指定された木の伐採を考えている場合は、先に市へご相談ください。
補助金を使いたいときに先に確認したいこと
1. 木が生えている土地の地目と所有者
岡山市・倉敷市の制度は、どちらも森林(山林)の木が前提です。木のある土地が山林なのか宅地なのか、所有者は誰なのかによって、そもそも対象になるかが決まります。申請書類にも、山林の所有者がわかる書類や登記事項証明書が含まれています。
2. 切る前に窓口へ相談する
どちらの市も、伐採前の写真や事業計画書を出して事前に申請する仕組みです(倉敷市は「活動前」の申請と明記)。先に木を切ってしまうと、申請に必要な書類がそろわなくなります。補助を使う可能性があるなら、業者と日程を決める前に、まず市の窓口に相談してください。ただし、木や枝が電線に触れているときは、補助の相談より先に、木に触れずに中国電力ネットワークへ連絡してください。倒れかけた木を見つけたときに先に確かめることは倒木の処理は誰がする?台風で倒れた木の撤去・責任・保険でまとめています。
3. 森林の伐採の届出が必要か
森林の木を伐採するときは、補助とは別に、森林法にもとづく「伐採及び伐採後の造林の届出」が必要になる場合があります。倉敷市のページでは、森林所有者などが森林の立木を伐採する場合、伐採を始める90日前から30日前までに届出を行い、伐採が終わった日から30日以内に森林の状況を報告することが義務付けられていると案内されています。岡山市のページでは、倒木、枯死木、著しく損傷した立木を伐採する場合は届出が不要で、保安林に指定されている場合は県への許可申請等の手続きが必要とされています。
前に触れたとおり、岡山市の補助は、必要な届出等が行われていない場合は交付の対象になりません。届出が要るかどうかも、補助の相談とあわせて市の窓口で確認してください。
4. 見積書を用意する
岡山市は、経費の内訳がわかる見積書の写しが申請に必要です。倉敷市は、作業を外部に委託する場合(会員が直接作業するのが難しい場合に限られます)や機械をリースする場合に、見積書の写しが必要とされています。当社は現地調査とお見積りを無料で行っています。補助金の申請を考えていることを、ご相談の際にお知らせください。なお、申請の手続きそのものは、申請する方(倉敷市の場合は町内会等)から市へ行っていただくものです。
5. 作業後の実績報告まで見通しておく
作業が終わったあとは実績報告が必要で、岡山市は事業完了後の写真や領収書の写し、倉敷市は伐採中・伐採後の写真や領収書などを提出します。写真は申請する方ご自身で撮っておく必要があるため、作業日を決める際に段取りを確認しておきましょう。
6. 補助が出ても自己負担は残る
補助は費用の一部で、上限もあります。審査の結果、対象にならないこともあります。補助の有無にかかわらず、急いで処理すべき危険な木かどうかは分けて考えましょう。倒れそうな木の見分け方は台風・大雨の前にやっておきたい庭木の危険チェックリストでまとめています。
補助の対象にならない庭木の費用を考えるには
宅地の庭木の伐採は、補助を使えないことが多いぶん、見積りの中身を理解しておくことが大切です。伐採の費用は、木の高さや太さ、本数、作業スペース、伐根(切り株の撤去)をするかどうか、処分する量などで変わります。
たとえば、切り株まで撤去するのか、地際で切るだけにするのかで金額は変わります。同じ庭にある木をまとめて依頼すると、別々に頼むより段取りが一度で済む場合もあります。料金の決まり方は木の伐採費用は何で決まる?料金の内訳と見積もりの見方、当社の料金の目安は料金・明朗会計の約束をご覧ください。
倒れそうな木や、建物・電線の近くにある木は、危険木伐採として、周りに被害を出さない工法を現地で検討します。
よくあるご質問
Q. 自宅の庭木の伐採に使える補助金はありますか?
岡山市・倉敷市の危険木の補助は、どちらも森林(山林)の木が対象で、倉敷市は住宅地の木を対象外と明記しています。宅地の庭木の伐採をそのまま補助する制度は、当社が確認した範囲では見つかりませんでした。ほかの市町村の制度は、お住まいの市町村の窓口でご確認ください。
Q. 隣の山の木がうちに倒れてきそうです。
岡山市の場合、被害を受けるおそれのある住居の所有者・管理者も、木の所有者から承諾を得れば申請者になれるとされています。ただし、森林の所有者が分からない場合や、共有名義で全員の同意が得られない場合は対象外です。倉敷市の場合は、町内会等としての申請になります。まずは市の窓口にご相談ください。借家にお住まいの場合は、家主さんや管理会社にもあわせてご相談ください。
Q. もう伐採してしまいました。あとから申請できますか?
岡山市・倉敷市とも、伐採前の写真や事業計画書を出して事前に申請する仕組みです(倉敷市は「活動前」の申請と明記)。伐採したあとでは対象にならない可能性が高いため、まずは窓口でご確認ください。これから伐採する方は、着手前のご相談をおすすめします。
Q. 裏山や山林にある木の伐採も頼めますか?
木の大きさや場所、作業に入れる道があるかなどによって、対応できるかどうかや方法が変わります。現地を確認したうえでご説明しますので、まずはお電話で、木のある場所とおおよその大きさをお知らせください。
Q. 木が倒れて被害が出てしまった場合はどうなりますか?
倒れたあとの片付けや責任、保険の考え方は倒木の処理は誰がする?台風で倒れた木の撤去・責任・保険で解説しています。
出典:岡山市「里山における危険木の伐採等の費用を補助します」(ID:48577・2023年4月1日付)/岡山市「岡山市里山における危険木伐採支援事業補助金交付要領」/倉敷市「倉敷市危険木伐採等森林整備補助金のお知らせ」(ページ番号1016392・2025年3月21日更新)/倉敷市「伐採及び伐採後の造林の届出制度について」(ページ番号1017053・2025年3月28日更新)/岡山市「保存樹について」(ID:68440・2026年3月24日付)(いずれも2026年10月閲覧)。本記事では各資料の内容を要約・編集して紹介しています。制度の内容・受付状況は変わることがあるため、申請の前に必ず各市へご確認ください。